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2024.04.26 レース結果

2024 D.I.D全日本モトクロス選手権 第3戦 レースレポート

2024 D.I.D全日本モトクロス選手権 第3戦 レースレポート

全日本モトクロス選手権 レポート

2024 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ

3戦 HSR九州大会

2024年421

熊本県/HSR九州

天候:雨

気温:21

コースコンディション:マディ

観客:1,375

 

2024年の全日本モトクロス選手権シリーズ第3戦は、日曜日のワンデースケジュールにより熊本県のHSR九州で開催された。

5月に予定されていた第3戦中国大会が中止になったことから、本来は土日で実施する予定だった第2戦を土曜日のみのスケジュールに変更。翌日曜日にも、まったく同様のワンデースケジュールで第3戦を実施することになった。

この第2戦、第3戦の舞台となったのは、ホンダの熊本製作所に隣接するHSR九州。ダイナミックなレイアウトを特徴としてきたコースだが、一昨年の大幅リニューアルで全長が短縮されてテクニカルなセクションが増加され、さらに今大会に向けてよりコース幅が狭くフラットなセッティングとなった。山砂を搬入した整備が施されてきた歴史を持つが、本来の土質は阿蘇の火山灰に由来する黒土だ。

土曜日午後から降り始めた雨は、日曜日朝の段階では小康状態だったが、朝のタイムアタック予選が終わったころから土砂降りに。これで一気にマディになると、とくに午後はスタックや転倒するライダーが続出する過酷なコンディションとなった。

Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1クラスでは「Team Kawasaki R&D」の能塚智寛選手(#7)と「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」の渡辺祐介選手(#12)、IA2クラスではヤマハのマシンを駆る「bLU cRU フライングドルフィン サイセイ」の浅井亮太選手(#7)と、プロモーションライダー契約を締結。ウエアやブーツやゴーグルなどのライディングギアを提供する。また昨年に続き、「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」からIA1クラスにフル参戦するジェイ・ウィルソン選手(#1)に、100%ブランドのゴーグルをサポートする。しかし渡辺選手は、練習中のケガにより今大会を欠場した。

IA1クラス ヒート1

IA1クラス ヒート1

30分+1周となった決勝ヒート1では、ジェイ・ウィルソン選手(#1)がスタート直後に3番手、能塚智寛選手(#7)が6番手のポジションを確保。能塚選手はすぐに4番手まで順位を上げ、ウィルソン選手も激しいバトルの末に2番手となった。レース序盤、能塚選手はトップ3に離されながらも、後続を大きく引き離して4番手をキープ。ウィルソン選手はトップに迫った。

ところが4周目にウィルソン選手が転倒。これで2番手と約3秒差の3番手に順位を下げた。レース中盤、能塚選手は完全に単独走行に。ウィルソン選手も必死に前を追ったが、89周目にミスしてその差は約11秒に拡大した。さらにウィルソン選手は、13周目に再び転倒。それでも能塚選手とは1分近い差で3番手を守った。そしてレースは15周でチェッカー。ウィルソン選手が3位、能塚選手が4位となった。

IA1クラス ヒート2

IA1クラス ヒート2

15分+1周の短いレースとなった決勝ヒート2は、激しい雨が降りスタックや転倒が続出。ジェイ・ウィルソン選手(#1)は1周目3番手、能塚智寛選手(#7)は4番手で1周目をクリアすると、2周目にウィルソン選手は2番手浮上を狙ったが、ここでイン側にラインを変更したところ、深いワダチでスタックした。この影響で、すぐ後ろにいた能塚選手もストップ。能塚選手はなんとか抜け出しこの周を5番手でクリアしたが、ウィルソン選手は復帰に1分ほどを要して18番手まで沈んだ。

翌周以降、能塚選手はライバルを圧倒するタイムで上位を猛追。3周目には3番手に浮上した。5周目、トップのライダーがスタックし、これで能塚選手は2番手。そしてコース後半でトップのライダーに並んだ。ところがジャンプで両者が接触。能塚選手のみ転倒し、ハンドルが折れた能塚選手はここでリタイアとなった。レースは8周で終了。最後まで諦めることなく追い上げを続けたウィルソン選手は、来日以来のワーストリザルトとなる9位でチェッカーを受けた。

IA2クラス ヒート1

IA2クラス ヒート1

ヒート130分+1周のレース。浅井亮太選手(#7)はスタート直後に5番手の好位置を得ると、すぐに4番手にポジションを上げた。レース序盤、縦に長くなったトップグループの中で、浅井選手は3番手のライダーを猛追。しかしややペースが上がらず、5周目に1台の先行を許した。

するとここから、浅井選手がペースアップ。抜かれたライダーには引き離されながらも、後続のライダーとは2秒ほどのギャップをキープした。レース終盤、3番手争いから1台が脱落してきて、浅井選手は約1秒差まで接近。最後に勝負を仕掛けた。しかしここはパッシングには至らず、14周のレースを浅井選手は5位でフィニッシュした。

 

IA2クラス ヒート2

IA2クラス ヒート2

今大会最後のレースとなった15分+1周のIA2決勝ヒート2は、もっとも過酷なコンディション。浅井亮太選手(#7)は、スタートで出遅れて1周目を11番手でクリアした。オープニングラップから、難所となっていた右タイトターンではスタックするライダーが続出。3周目には浅井選手もここに捕まりかけたが、うまく脱出して7番手に順位を上げた。

さらに浅井選手は、4周目に4番手浮上。5周目には3番手のライダーもスタックし、これで浅井選手は3番手まで順位を上げた。そしてその後は、慎重にラインを選びながら周回。レースは7周で終了となり、浅井選手は今季ベストリザルトとなる3位で表彰台に登壇した。

ジェイ・ウィルソン選手(#27)ヒート1=3位/ヒート2=9位

「日本に来て今年で3シーズン目ですが、これほどまでに過酷なコンディションというのは今回が初めて。でも、私も人間ですから、こういう悪いレースのときもあるということです。ヒート1は、それほど悪い展開ではなかったのですが、自分が少し急いでしまい、その結果としてミスをしました。IA1初優勝の大倉由揮選手を、素直に祝福したいと思います。ヒート2はスタートが良くて、1周目は3番手。そこから2周目に前のライダーを抜こうとラインを変えたら、スタックしました。かなり深く、復帰に時間がかかりどうしようもありませんでした。やはり、毎回勝つというのは難しいと痛感。気持ちを切り替え、同じミスを繰り返さないよう改善して、次戦以降に臨みます」

能塚智寛選手(#7)ヒート1=4位/ヒート2=DNF

「ヒート1は、マシンのセットアップに苦しんだこともあり、うまくコースを攻略できず単独走行の4位。今回、LEATTのゴーグルにロールオフを装着し、これそのものは非常によく機能していて、視界もバッチリだったのですが、過酷なコンディションでゴーグルそのものに泥が付着して重くなり、至近距離で順位を争っているライダーがいなかったことから、レース終盤に外しました。ゴーグルトラブルそのものはなく、この点は今後も信頼できます。ヒート2は、序盤に追い上げている段階で勝った気になるくらい、周りのライダーが遅く見えました。実際、あっという間にトップまで追いついたのですが、勝負したわけではないのに予想と違うバイクの動きになり、接触して自分だけ転倒。すぐ復帰しようと思ったのですが、ハンドルが折れていてどうしようもありませんでした。楽しくは走れたのですが、リザルトに結びつかないレースばかりで悔しいです」

 

浅井亮太選手(#7))ヒート1=DNF/ヒート2=12位

「幸いにも前日のクラッシュによる骨折はなく、首がむち打ちのような状態で痛むだけ。体調そのものは悪くなく、この第3戦に出場することができました。開幕戦、前日の第2戦と大きくポイントを取りこぼしてしまい、不安な気持ちや自分を見失いそうになる感覚はあったのですが、その中でとにかくこの第3戦は、やるべきことを決めてそれだけに集中し、ひとつずつ前に進めていこうと考えました。結果的にはそのひとつずつがつながり、完璧ではないですが自分の走りが戻ってきたように思います。今回はマディと激しい雨のレースで、100%ゴーグルに助けてもらったと感じています。ラミネートのティアオフをかなり多く装着して、曇り止めも施工。ヒート2はスタートで出遅れてからの追い上げでしたが、最後までゴーグルを外さず走り切ることができ、これも大きかったと感じています」