
【全日本モトクロス選手権 レポート】
2025 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ
第3戦 21Groupカップ オフロードヴィレッジ大会
2025年5月17日(土)・18日(日)
埼玉県/ウエストポイント オフロードヴィレッジ
天候:曇り
気温:26度
コースコンディション:マディ to ドライ
観客:8,564人
2025年の全日本モトクロス選手権は年間7戦のシリーズ。その第3戦は「21Groupカップ オフロードヴィレッジ大会」として5月17日(土)~18日(日)に埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された。ただし今大会には、変則的なスケジュールが導入され、IA1クラスとIA2クラスとレディースクラスの予選と決勝が、すべて日曜日に実施された。
舞台となったのは、荒川と入間川に挟まれたほぼフラットな河川敷にあるオフロードヴィレッジ。連続ジャンプやリズムセクション、タイトターンを中心に構成された、いわゆるスーパークロス的なレイアウトを特徴とする。
イベントレースやIBオープンクラスの予選などが実施された土曜日に雨が降り、これでコースはマディコンディションに。夕方に雨は止んだが、日曜日は朝から曇り空で路面の回復はやや遅めで朝イチはマディに近く、その後は徐々に乾いていった。
Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1クラスに参戦する「Honda Dream Racing LG」の横山遥希選手(#2)、「Team Kawasaki R&D」の能塚智寛選手(#5)、「YAMAHA BLU CRU RACING TEAM」の渡辺祐介選手(#15)、「Kawasaki PURETECH Racing」の西條悠人選手(#37)、「BLU CRU フライングドルフィン サイセイ」の浅井亮太選手(#38)と、ウエアやブーツやゴーグルなどのライディングギアに関するプロモーションライダー契約を結び、そのレース活動をサポートしている。
IA1クラス ヒート1
IA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で実施。決勝ヒート1では、横山遥希選手(#2)が1周目を4番手でクリアし、これに最高峰クラスルーキーの西條悠人選手(#37)と渡辺祐介選手(#15)が続いた。こちらもIA1ルーキーの浅井亮太選手(#38)は1周目9番手。能塚智寛選手(#5)はさらに出遅れ、同11番手からの追い上げを強いられた。
2周目、西條選手と渡辺選手は1台の先行を許し、さらに両者が順位を入れ替え。3周目、3番手のライダーを僅差で追っていた横山選手が転倒し、8番手まで順位を落とした。これにより、渡辺選手が5番手で、4秒ほど遅れて西條選手と浅井選手と横山選手が接近戦を繰り広げ、さらに2秒ほど後方からこの3台を能塚選手が追うことになった。
4周目以降、西條選手がこの集団から脱落。レース中盤には浅井選手と横山選手が渡辺選手との距離を詰め、9周目には横山選手が浅井選手をパスした。ところが翌周、横山選手は周回遅れと絡んで再び転倒。レースは12周でチェッカーとなり、後続から逃げ切った渡辺選手が5位、浅井選手が6位、能塚選手が8位、横山選手が11位、西條選手が12位となった。


IA1クラス ヒート2
決勝ヒート2では、能塚智寛選手(#5)がホールショット。これに横山遥希選手(#2)が続くと、1周目後半で横山選手が先頭に立った。渡辺祐介選手(#15)は1周目5番手で、これに浅井亮太選手(#38)が続いたが、西條悠人選手(#37)は大きく出遅れ、13番手からの追い上げを強いられた。2周目、横山選手は約3秒のリードを確保。3周目には渡辺選手が4番手に順位を上げた。
5周目、能塚選手はライバルの先行を許して3番手に後退。この間にトップを走る横山選手のリードは約5秒に拡大した。しかし6周目以降、横山選手はじわじわと2番手の接近を許し、能塚選手を大きく離したトップ2が、8周目あたりから接近戦を繰り広げた。横山選手は何度か背後から迫られたものの、ポジションを死守。そのまま12周目の最終ラップまで逃げ切り、今季初優勝を挙げた。
一方、トップ2に離された能塚選手にも、レース終盤に1台のライバルが迫ったが、こちらも最後まで順位をキープ。最後は僅か約0.5秒差で競り勝ち、能塚選手が3位を獲得して今季初表彰台に立った。7周目まで4番手を走っていた渡辺選手は、終盤に順位を落として7位。西條選手はペースが上がらず12位、浅井選手は8番手を走行していた最終ラップに転倒して13位に終わった。


IA1クラス ヒート3
決勝ヒート3では、渡辺祐介選手(#15)と横山遥希選手(#2)がホールショット争いを繰り広げると、まずは横山選手が先行。さらに能塚智寛選手(#5)と浅井亮太選手(#38)が続いた。1周目、渡辺選手が5番手まで順位を下げる一方で、浅井選手は積極的なパッシングで2番手浮上。1周目は横山選手、浅井選手、能塚選手がトップ3で、渡辺選手は5番手、西條悠人選手(#37)は7番手だった。
2周目、渡辺選手は6番手、西條選手は9番手にポジションダウン。渡辺選手はトップ5のペースについていけず、これで先頭グループがまずは5台に絞られた。3周目には、トップの横山選手が4秒ほどリード。すると翌周には、ジェイ・ウィルソン選手が2番手に順位を上げてトップの横山選手を追いはじめ、横山選手とウィルソン選手のトップ争いとなった。
すでに3番手以下を10秒ほど離していたトップ2のバトルは、ここから5周にわたり横山選手がポジションを守り続けたが、10周目にウィルソン選手が先行。11周目に入ったところで再逆転を狙った横山選手が転倒し、横山選手は悔しい2位となった。3周目に4番手へと後退した能塚選手は、最後まで後続を抑えて4位。浅井選手はレース中盤から順位を下げて7位、渡辺選手は9位、西條選手は12位だった。


横山遥希選手(#2))ヒート1=11位/ヒート2=優勝/ヒート3=2位
「ヒート1は、アグレッシブな走りをする3番手の小方誠選手を抜けずにいて、強引にいきすぎたところで転倒。終盤は、目の前で転倒した周回遅れに引っかかり、もう一度転びました。ヒート2は、1周目からトップに立ち、ジェイ・ウィルソン選手が後ろにいないのはわかっていたのですが、マシンと自分のフィーリングが合わず、エンストの凡ミスで後ろに迫られるなど、結果的には勝ちましたが、納得できる内容ではありませんでした。ヒート3は中盤からウィルソン選手との優勝争いとなり、自分のラインを守れば抜かれないかもと思いましたが、ジャンプで先行されてしまいました。その直後に、ここで勝負しないとチャンスはないと思って、リスキーなのは理解しながら仕掛けたものの転倒。でも、あそこで勝負したことに後悔はありません」


能塚智寛選手(#5)ヒート1=8位/ヒート2=3位/ヒート3=4位
「ヒート1はスタートに失敗。その後はペースが掴めず、腕上がりもあって8位に終わりました。一方でヒート2とヒート3は、スタートでしっかりいい位置を確保でき、前のほうで走ることができましたが、どちらも結果的には追い下げの展開なので、内容は悪かったと思います。とはいえ、久しぶりにトップを走行し、表彰台圏内でのバトルもできたし、鬼門のコースで転倒もなく終わり、開幕からリザルトも少しずつよくなっているので、そういう点で多少の収穫はあったはず。自分も必死でやっていますが、みんなも速くなっていて、簡単ではないとあらためて感じましたが、自分も流れはよくなってきていると思うので、次戦の中国大会では、もう少し上の景色でレースができるよう頑張ります」


渡辺祐介選手(#15)ヒート1=5位/ヒート2=7位/ヒート3=9位
「結果はともかく、久しぶりにレースをした感じがします。ヒート1とヒート2では転倒もあったのですが、どのレースもスタートで前のほうにいることができ、ヒート3ではホールショットを獲得することもできました。開幕からの2戦はスタートが悪く、チームとも話し合ってマシンの仕様をいろいろ変更した成果がありました。スタートで前にいられるからこそ駆け引きもできるし、ヒート1とヒート2は表彰台圏内が見える位置でのレースもできていたので、全体的にはポジティブに考えています。開幕戦、第2戦と自信をなくしてしまうような内容だったので、切り替えのレースになったはず。これからも前の方でレースをして、泥で汚れていないFLYのウエアをみんなに見てもらいたいです」


浅井亮太選手(#38)ヒート1=6位/ヒート2=13位/ヒート3=7位
「前戦を終えたあたりから、450㏄マシンを走らせるコツのようなものが少しわかってきた感覚があります。その結果、ヒート1ではIA1クラスで初めて6位入賞することができました。ヒート2は最初からカラダの動きがカタくて、リズムが掴めず終わりました。とくに最後の転倒は不要だったので、ここは大きな反省材料です。ヒート3の1周目は、自分より実力のあるライダーたちとの勝負なので、イケるところで抜いておかないと……という考えもありました。1周目2番手という順位に、自分自身でも好成績を期待しましたが、IA1はやはりそこまで甘くなく、レベルの差を痛感させられました。とはいえ、開幕戦や第2戦と比べたらいいところが増え、ポジティブに捉えられる大会だったと思います」


西條悠人選手(#37)ヒート1=12位/ヒート2=12位/ヒート3=12位
「昨年、このコースでのレースで腰を痛めてしまったのですが、前戦でそれをまた悪化させてしまいました。そのため、今大会までマシンの乗り込みができず、久しぶりにちゃんと走ったのですが、カラダもあまり動かないし、ちょっと高くなった気温にもやられてしまい、自分の走りがまるでできませんでした。いつもならもっと下半身で操れていると思うのですが、完全に上半身だけでカバーしようとして、悪いループから抜け出せないうちに大会が終わりました。15分間とは思えない、ただただ苦しいレースでした。唯一、腰の状態が悪化しなかったことだけはよかったのですが、走りが悪くて悔しさしか残っていません。次戦までは約1ヵ月あるので、しっかりカラダをケアして万全の状態で臨みたいです」

