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2025.06.20 レース結果

2025 D.I.D全日本モトクロス選手権 第4戦 レースレポート

2025 D.I.D全日本モトクロス選手権 第4戦 レースレポート

全日本モトクロス選手権 レポート

 

2025 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ

4戦 中国大会

2025年614日(土)・15日(日)

広島県/世羅グリーンパーク弘楽園

天候:晴れ時々曇り

気温:29

コースコンディション:マディ to ドライ

観客:4,040

 

年間7戦で競われる2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは、ちょうど中間地点を迎え、第4戦中国大会が6月14日(土)~15日(日)に広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催された。この会場で全日本が開催されるのは2年ぶりとなる。

広島県南東部の山中に位置するこのコースは、自然の地形を活かした豊富なアップ&ダウンと、ダイナミックかつハイスピードなレイアウトが特徴。路面はハードパックで、コース序盤に配されたラムソンジャンプをアイコンとしてきた。

土曜日の午前中から雨が降りはじめ、IAクラスの予選などが実施された午後には、マディコンディションとなった。この雨は日曜日の朝まで断続的に降り続いたが、公式練習の途中で止むと、すぐに青空が顔を覗かせるほどまで天候が回復。これにより路面状況も急激に回復し、日曜日の昼ごろにはほぼ全セクションがドライコンディションとなった。

Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1クラスに参戦する「Honda Dream Racing LG」の横山遥希選手(#2)、「Team Kawasaki R&D」の能塚智寛選手(#5)、「YAMAHA BLU CRU RACING TEAM」の渡辺祐介選手(#15)、「Kawasaki PURETECH Racing」の西條悠人選手(#37)、「BLU CRU フライングドルフィン サイセイ」の浅井亮太選手(#38)と、ウエアやブーツやゴーグルなどのライディングギアに関するプロモーションライダー契約を結び、そのレース活動をサポートしている。

IA1クラス ヒート1

IA1クラス ヒート1

IA1クラスの決勝は、30分+1周の2ヒート制で実施。決勝ヒート1では、スタート直後で混戦する中、5番手を走行していた横山遥希選手(#2)が他車に接触されて転倒。ここに西條悠人選手(#37)を含む後続が次々突っ込み、数台が転倒して10台ほどが大きく遅れることになった。一方、渡辺祐介選手(#15)と能塚智寛選手(#5)とはスタートを決め、マルチクラッシュよりも先にこの区間をクリア。浅井亮太選手(#38)は、発生時にちょうど真横をすり抜けた。

1周目、能塚選手が渡辺選手をパスして2番手に浮上。抜かれた渡辺選手の背後には浅井選手が迫り、3周目に逆転したが、この段階で2番手の能塚選手とは8秒ほど離れていた。渡辺選手は4周目に転倒して6番手まで後退したが、6周目に4番手のライダーが転倒後退したため、5番手に順位を上げた。2番手の能塚選手は、45秒差でトップを追い続けたが、レースが中盤に入ると、さらに少し離されはじめた。そしてレースは17周で終了。能塚選手は2位を獲得した。

一方、浅井選手は3周目以降に3番手をキープ。レース終盤になってその背後に1台が接近し、14周目には先行された。ここはすぐに、浅井選手が再逆転。そしてこのバトルに競り勝った浅井選手が、最高峰クラスへのステップアップ初年度で初表彰台登壇となる3位でゴールした。レース終盤にはこの2台に渡辺選手も接近し、渡辺選手は4位と約1.5秒差の5位でフィニッシュ。横山選手は9位、西條選手は15位となった。

IA1クラス ヒート2

IA1クラス ヒート2

決勝ヒート2では、能塚智寛選手(#5)がまずまずのスタートを決め、4番手からのレースに。この能塚選手に浅井亮太選手(#38)が続いた。一方、横山遥希選手(#2)と渡辺祐介選手(#15)と西條悠人選手(#37)はいずれも出遅れ、横山選手は1周目9番手、オープニングラップで横山選手にパスされた渡辺選手は10番手、西條選手は同16番手からの追い上げを強いられた。2周目、浅井選手は6番手に後退。翌周、能塚選手は3番手に浮上した。

4周目、2番手のライダーが飛び石を受けるアクシデントでペースを落とし、4秒ほどあったギャップを一気に詰めた能塚選手が接近。6周目あたりから再びギャップができ始め、8周目には3秒ほどまで拡大したが、ここから能塚選手が粘り、10周目には再び接近戦となった。そして12周目、ついに能塚選手が先行。最終ラップとなった17周目まで、抜いた相手に23秒差で追撃を受け続けたが、最後までポジションを守り、能塚選手は再び2位でゴールした。

レース終盤、この2台にものスゴい勢いで迫ってきたのが横山選手。スタートで出遅れた横山選手は、レース序盤の追い上げに苦戦し、9周目に4番手まで浮上した段階で、3番手の能塚選手は10秒ほど先行していた。しかしここから8周でこの差を詰め、最後は前を走っていたライバルと並んでゴール。しかし0.017秒届かず、惜しくも4位となった。浅井選手は、6周目と15周目に順位を落として8位、渡辺選手はほぼ同じ位置を走って10位、西條選手は追い上げが振るわず13位となった。

能塚 智寛 選手(#5)ヒート1=2位/ヒート2=2位

「じつは、このコースでの事前テストで転倒し、膝の内側を陥没骨折。万全な状態ではなかったのですが、結果としては今季ベストリザルトだし、両ヒートともまとめることができました。事前テストでも乗れている感じはあったし、膝の痛みもガマンできると思えたので、それなら諦めてしまうのはモッタイナイと……。どちらの決勝ヒートも、自分より若いライダーに負けてしまいましたが、カラダの状態を考えたら悪くない大会になったと思います。土曜日は雨、日曜日は暑くなりましたが、予選と決勝のウエアはいつもと同じくLEATTの“5.5”で走行。肌に密着するけど動きを妨げないし、通気性もあるので気に入っています。僕はゴーグルもLEATTですが、雨の土曜日もノントラブル。安心して使えました」

浅井 亮太 選手(#38)ヒート1=3位/ヒート2=8位

「正直なところ、事前練習で上位勢との実力差を痛感させられていたので、表彰台に上がる自信はありませんでした。一方で、公式練習と予選はすべて6番手以内で、調子が悪くないことも確認。そして迎えた決勝ヒート1では、スタート直後のマルチクラッシュに巻き込まれることなく、しかも12周目にうまく追い上げられました。レース終盤は小方誠選手とのバトルで、正直なところ苦しかったですが、IA1ルーキーで表彰台に立つことが大事だと思っていたので、達成できたことがうれしいです。ただしヒート2は、追い下げの展開。やはりIA1は甘くないと感じさせられました。ウエアに関してはいつもどおり、予選と決勝ではストレッチタイプを着用。生地が薄いので、雨の予選では吸水量が少なく重量増を抑えられるし、決勝は30分+1周だったので、動きやすさを重視しました」

横山 遥希 選手(#2)ヒート1=9位/ヒート2=4位

「ヒート1は、スタート直後にイン側のワダチに入ったライダーを抜こうとしたら、そのライダーが振られてアウトに飛び出してきて、前輪を弾かれて自分だけ転びました。混戦かつ狭い場所での転倒で、後ろからどんどん突っ込まれ、しかも上り坂だったのでリカバリーも難しく、大きく出遅れたことで追い上げきれず終わりました。ヒート2は、スタートに失敗。しかも、路面が荒れていたことでパッシングポイントが定まらず、序盤はなかなか追い上げられずにいました。中盤からだいぶマシになりましたが、対応が遅すぎました。走りのフィーリングは悪くなかったのですが、レースの組み立てで負けたというイメージ。全日本は3ヵ月間のインターバルに突入しますが、自分は8月第1週までオーストラリア選手権に参戦するので、またオージーのスピードを取り戻してきます」

渡辺祐介選手(#15)ヒート1=5位/ヒート2=10位

「予選で他車に突っ込まれ、リタイアするかどうか悩むくらいの状況に。なんとか走り切り、すぐトレーナーさんにケアしてもらいました。筋挫傷および骨挫傷という診断だったのですが、決勝を走れないほどの状態ではなく、そもそも走らないという選択肢もありませんでした。昨年負ったケガについては、まだリハビリを続けている状況とはいえ少しずつ治ってきており、シーズンを戦いつつトレーニングや練習を含めて新たな挑戦にトライしている段階。それが段々噛み合ってきたこともあり、ヒート15位となりました。ヒート2はスタートで出遅れ、本当はもう少し追い上げたかったのですが、荒れた路面とケガによりマシンコントロールがままならず、悔しい結果に終わりました。次戦は3ヵ月後。ここでしっかりケガを完治させ、トップ争いできる速さまで引き上げたいです」

西條 悠人 選手(#37)ヒート1=15位/ヒート2=13位

「ヒート1は、スタート直後に67番手あたりを走っていたのに、上位勢が3台ほど絡んで転倒したのを避け切れずに自分も転倒。これで完全にリズムを崩し、走りの悪い癖が出て、追い上げもできず終わりました。ヒート2は、逆にスタートでミスして出遅れ。自分ではそれなりに乗れていると思っていたのに、結果としてペースが上がらないままでした。現状では、走りそのものの課題がどこにあったのか明確ではないので、次のレースまで3ヵ月間もインターバルがあるというのは、自分にとってはある意味で救いです。第2戦で腰を痛め、しばらく乗り込めなかったことも響いているとは思いますが、自分の走りを深く分析してトレーニングと練習に取り組み、もっと強く、速いライダーになって帰ってきます」