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2023.04.14 レース結果

2023 D.I.D全日本モトクロス選手権 レースレポート

2023 D.I.D全日本モトクロス選手権 レースレポート

【全日本モトクロス選手権 レポート

2023 D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ 1戦 HSR九州大会

2023年489

熊本県/HSR九州

天候:晴れ

気温:19度 

コースコンディション:ドライ

観客:2,006

 

2023年の全日本モトクロス選手権シリーズは、今年も熊本県のHSR九州で開幕した。土日とも晴天に恵まれたが、金曜日までのまとまった降雨により、土曜日はマディコンディションでスタート。それでも、土曜日の日差しと強い風、夕方の入念なコースメンテナンスにより、決勝日の路面はドライコンディションかつホコリの発生が少ない、ベストな状態となった。

アップダウンがほとんどない広大な土地に設けられた、広いコース幅も特徴とするコースは、基本的なレイアウトを昨秋の全日本開催時から踏襲しながら、細部の仕様を変更。本来は阿蘇の火山灰に由来する黒土の路面だが、大会前に再び大量の山砂を導入しながらメンテナンスされ、セクションによってはかなり深いサンド質の路面となった。

今大会は、IA1クラスとIA2クラスに151周の3ヒート制を導入。初戦から、すべてのヒートで勝利すると一撃で75ポイントを獲得できる重要な大会となった。

Westwood MXは今季、全日本最高峰のIA1に「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から参戦する富田俊樹選手(#1)と渡辺祐介選手(#3)、ホンダサポートチームの「Honda Dream Racing Bells」からエントリーする大城魁之輔選手(#4)と、プロモーションライダー契約を締結。また、昨年度のIA2クラスチャンピオンで今季は新設されたもうひとつのヤマハファクトリーチームとなる「YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM」から選手兼監督としてIA1のレースにフル参戦するジェイ・ウィルソン選手(#27)に、100%ブランドのゴーグルをサポートする。

さらにIA2クラスでは、カワサキのマシンを駆り「ピュアテックレーシング」からチャンピオン獲得を狙う西條悠人選手(#8)ともプロモーションライダー契約を結び、レース活動をサポートする。

IA1クラス ヒート1

ジェイ・ウィルソン選手(#27)がホールショット。富田俊樹選手(#1)と渡辺祐介選手(#3)と大城魁之輔選手(#4)は出遅れ、しかも富田選手は1周目に転倒。オープニングラップをウィルソン選手がトップ、渡辺選手が7番手、大城選手が14番手、富田選手が15番手でクリアした。2周目、ウィルソン選手は早くも45秒のアドバンテージを確保。翌周以降もリードを拡大したウィルソン選手が、まずは1勝を挙げた。渡辺選手は、レース中盤に5番手の大塚豪太選手に迫るも、6周目の転倒で遅れてしまい6位。9周でチェッカーの短いレース時間で追い上げは厳しく、大城選手は8位、富田選手は9位に終わった。

IA1クラス ヒート2

ホールショットは再びジェイ・ウィルソン選手(#27)。渡辺祐介選手(#3)は4番手、富田俊樹選手(#1)は6番手で1周目をクリアし、大城魁之輔選手(#4)はスタートに失敗して1314番手からの追い上げを強いられた。2周目以降、ウィルソン選手は早くも独走態勢。2番手争いは、大倉由揮選手と内田篤基選手と渡辺選手の接戦となった。5周目に内田選手が転倒し、2番手争いは大倉選手、渡辺選手、富田選手、能塚智寛選手の4台に。6周目、富田選手は転倒して2番手争いの集団から遅れた。8周目には、渡辺選手が大倉選手を抜いて2番手に浮上。9周のレースはウィルソンが独走で勝利を収め、僅差のバトルを制した渡辺選手が2位、富田選手が5位、大城選手は8位となった。

IA1クラス ヒート3

ジェイ・ウィルソン選手(#27)はスタート直後こそ6番手あたりだったが、混戦の中で順位を上げ、大城魁之輔選手(#4)までパスして1周目を2番手でクリア。一方、ウィルソン選手との接触で富田俊樹選手(#1)が転倒し、1周目18番手と出遅れた。2周目、ウィルソン選手は能塚智寛選手を抜いてトップに浮上。2番手後退の能塚選手を約4秒差で大城選手が追撃すると、5周目に能塚選手が転倒して大城選手が2番手となった。レースは、ウィルソン選手が再び勝利を収め、大城選手が単独走行を続けて2位。最終ラップのゴール直前、レース前半から5番手の安原選手を追い続けていた渡辺選手がジャンプの着地で転倒して負傷リタイアとなり、代わりに富田選手が6位となった。

IA2クラス ヒート1

西條悠人選手(#8)がホールショット。これを横澤拓夢選手が追って1周目をクリアした。レース序盤、西條選手は3秒ほどのリードを獲得。しかし2番手の横澤選手に少しずつ距離を詰められ、5周目には西條選手と横澤選手のギャップは約1.5秒にまで縮まった。その後、西條選手も粘りをみせ、トップ争いは約2秒差で膠着状態。ラストラップとなった9周目までトップを走り続けた西條選手が、IA昇格5年目でうれしい初優勝をマークした。

IA2クラス ヒート2

スタート直後、西條悠人選手(#8)は4番手の好位置を確保。しかし中島漱也選手の先行を許し、1周目を5番手でクリアした。2周目、西條選手はビクトル・アロンソ選手にも抜かれて6番手に後退。しかし4周目に鴨田翔選手をパスし、5周目にはアロンソ選手が転倒で後退したことから、西條選手は4番手に再浮上した。この段階で、3番手の阿久根芳仁選手は2秒ほど先行。西條選手は阿久根選手を追い続け、9周のレースで4位となった。

IA2クラス ヒート3

西條悠人選手(#8)はスタートでやや出遅れ、1周目を8番手でクリア。それでも、2周目には2台をパスして6番手まで順位を上げた。この段階で、約2秒前を走っていたのは鴨田翔選手。ペースは鴨田選手のほうがわずかに速く、鴨田選手が4周目に阿久根芳仁選手を抜いたことで、5周目には西條選手と阿久根選手のバトルになった。翌周、西條選手は阿久根選手の攻略に成功。最後は単独走行となり、西條選手は5位でゴールした。

 

ジェイ・ウィルソン選手(#27)ヒート1=優勝/ヒート2=優勝/ヒート3=優勝

「ヒート3でクラッシュしてケガをしてしまったヤマハの渡辺祐介選手が、早く回復することを祈っています。私はこれまで長い間250ccに乗ってきて、IA1ではルーキー。しかも2023年型のYZ450Fをベースとするマシンでは初参戦ながら、周囲からも大きく期待されていることを感じていたので、レースウィークはとてもナーバスでしたが、いずれのヒートも素晴らしいスタートが勝利につながりました。今年から小学生となる娘のポピーに、いいプレゼントができたと思います。今後もポテンシャルをアップさせていきます」

大城魁之輔選手(#4)ヒート1=8位/ヒート2=8位/ヒート3=2位

「ヒート1、ヒート2ともにスタートでミスしました。しかも、出遅れたからといってこの順位で終わってしまったことが大きな問題。二度とこんなレースをしないよう、改善に取り組みます。ヒート3は、レース序盤でジェイ・ウィルソン選手にあっさり先行されてしまいました。現在の自分にとって2位は上出来ですが、レース内容に満足できる点がない状態。悔しさが残ります。モトクロスウエアに対しては、機能だけでなくカッコよさにもこだわっています。せっかくいいコーディネートができたのに、泥だらけで観客の方々にちゃんと見てもらえなかったことが残念。次戦こそ、きれいな姿のまま走り続けます」

富田俊樹選手(#1)ヒート1=9位/ヒート2=5位/ヒート3=6位

「今季は2023年型YZ450Fをベースとした新型マシンでの参戦となり、シーズンオフには合わせ込みをしてきたのですが、実際にレースを戦ってみて準備不足を痛感させられたし、レースを走ってみて気づくことが多くありました。実戦を想定したマシンづくりができていなかったのだと思います。自分自身の仕上がりはそこまで悪くなかったのですが、結果的には3ヒートとも転倒。そのすべてが同じような転倒だったため、どうしても慎重にならざるを得ない状況で、カラダの動きもカタくなって悪循環に陥りました。次戦まで1ヵ月あるので、課題と向き合い、場合によっては大きな変化も必要だと思っています」

西條悠人選手(#8)ヒート1=優勝/ヒート2=4位/ヒート3=5位

「ヒート1では、自信があったスタートが決まって、逃げ切ることができました。トップで走ることに慣れておらず、しかも久しぶりのレースだったので、前半はカタくなってしまいましたが、なんとか耐えることができました。ヒート2は、スタートから逃げ切るという目標は達成できず表彰台圏内は逃しましたが、ライディングは悪くなかったと思います。ヒート3は、だいぶ疲れもあり5位でしたが、今季はまずトップ5を逃さず確実にポイントを重ねることがテーマ。そうすればチャンピオンも見えてくると思うので、及第点だと思います。同点で総合優勝を逃したのが残念ですが、初優勝は気持ちよかったです」